ご自身の歯・口を一生美しく健康に保つ方法 From Hideki Yoshikawa

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カテゴリ:歯内療法・根管治療( 4 )


2014年 06月 27日

精度の悪いクラウンが根の先に病気・膿を作る

はっきりしない梅雨空が続いています。

このブログでは今までクラウン修復の質、精度について多く書いてきましたが、このことについて興味深い文献がありご紹介致します。

クラウンの質は根の治療の予後にも影響するということです。

1995年のRay先生とTrope先生の文献
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Endoは歯内療法のこと、Restrationは修復、クラウン、かぶせ物のこと、Apiは根の先に病気がないこと、つまり成功です。

根管治療とクラウンが両方グッドだと成功率は91%、根管治療、クラウン両方バッドだと成功率は18%

以前のブログでもわが国の根管治療の成功率について記載しておりますのでこちらも参考にして下さい。

東京医科歯科大学の須田教授はこのように仰っています。
日本の歯科医師が歯内療法を行う環境は困難を極めてている。保険診療における歯内療法の低評価は誰でもが認める事実であり、米国の一般開業歯科医による根管処置料金の中央値(2007)は、わが国の社会保険診療報酬の7倍以上である。

また、日本歯科医学会が2005年に発表したタイムスタディー調査結果から算出すると、大臼歯の根管処置において、審査から根管充填までの合計所要時間は2時間以上である。

解り易く言うと、日本では根管治療は不採算部門なので成功率が3割~5割であり、時間がかけられず無菌的な処置が行われていないことがその理由です。

この文献は治療中に細菌が歯の中に入ってしまう失敗だけではなく、クラウンが歯にぴったりと合っていないと、クラウンと歯の間から細菌が進入し根管内を根の先端まで伝わって根の先に膿を作るということを証明した研究です。

正しい原理原則を守った治療と守らない治療ではこのように結果に差があります。

千葉市美浜区の歯科 歯周病 インプラントなら吉川歯科医院

by yoshikawa-dc | 2014-06-27 19:53 | 歯内療法・根管治療 | Comments(0)
2013年 03月 24日

治療途中で投げ出すとコロナルリーケージが起きる

前の記事では歯と詰め物のスキマ、微少漏洩Micro Leakageについてお話しました。
歯科の病気、虫歯、歯周病は細菌感染症なので歯の中に細菌が侵入しないことと歯の周りに細菌性プラークが付着しないようにして、虫歯、歯周病を発生させないことが何より重要です。

以前の記事で根管治療の成功率が低いことをお話しました。
根管治療とは:根管治療とは、リーマーやファイルと呼ばれる器具で細菌に感染してしまった歯質や神経を徹底的に除去し、歯の根の病気(根尖病変)を治療・予防するものです。


虫歯が歯髄まで進行(C3以上)した場合や、根の病気になってしまった場合には、この根管治療が必要になります。

しかし、この根管治療(歯の神経・根の治療)は実はかなり難しいのです・・・。

なぜなら、根っこの中は直接見ることができず、形も人それぞれなので完全に歯髄を取り除くことが非常に難しく、歯髄はどんなに丁寧な治療をしても残ってしまうものです。

多少、歯髄が残っていたとしても歯の中に細菌が侵入しないで無菌的な処置が行われて、緊密に根管充填され根尖からの微少漏洩がなく細菌を埋葬できれば根管治療が成功すると言われています。歯の中の根管を洗浄、消毒する時唾液にさらされ、無菌的な処置が行われないと歯の根の中に細菌が増殖します。生体の防御反応、炎症を引き起こします。すると、根の先に病巣を作り膿がたまる、肉芽、膿胞ができる等の病巣を作ります。

そしてもう一つ大切なことがあります。歯の中、根管を無菌的に保ち根管を緊密に根管充填しても安心してはいけません。歯冠側からの漏洩(コロナルリーケージ)が起こります。

コロナルリーケージとは歯冠部部に装着された修復物と歯の隙間から細菌が侵入して根管充填されていてもその隙間から根尖孔へ細菌が移動して根尖病変を生じることです。

1987年のSwanson K,Madison S.J Endodonの論文
An evalution of coronal microleakage in endodontically treated teeth.Part 1
では、根管充填後の仮封材の脱落や歯冠破折などにより、根管充填剤が直接唾液に触れることが少なくない。
この論文ではたった3日間の人口唾液の暴露により、広範な根管漏洩が生じることが推測される。

結局、患者さんが治療を中断して最終の補綴物を装着しないと、それまで行った根管治療がすべて水の泡となるということです。

たまにあるケースですが、わがままな患者さんで仕事を優先しているので、仮歯は入れてほしいという要求ですが、仮歯を装着すると満足してしまい通院が途絶えます。1年後にまた来院して何とかしてほしいと仰います。根管治療した時間・お金がすべて無駄になりますので皆様お気をつけて下さい。

千葉市美浜区の歯科 歯周病 顕微鏡歯科 インプラントなら吉川歯科医院

by yoshikawa-dc | 2013-03-24 18:02 | 歯内療法・根管治療 | Comments(0)
2013年 03月 16日

根の治療の成功率

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上のグラフは根管治療における根尖部X線透過像の発現率です。

解り易く言うと、歯の歯髄(神経・血管)を除去した患者さまが東京医科歯科大学のむし歯外来に来院した時レントゲン写真を取ります。その時に根の先に病気が見つかった発現率を表しています。
東京医科歯科大学の須田教授の論文からの引用です。

わが国における歯内療法の現状と課題という論文ではこのように書いてあります。
2010年7月、その前年における保険請求回数の全国集計が政府統計の総合窓口(e-stat)で公表された。

そこに掲げられたデータから推計すると、2009年の1年間で行われた永久歯の抜髄(神経・血管を除去すること)・感染根管治療(抜髄処置が失敗して歯の根に細菌の感染があること)の総数は1,350万例以上にのぼる。無菌的処置の原則を遵守した場合でさえも、抜髄および感染根管の成功率は、それぞれ90%前後および80%前後と報告されているので、一般臨床現場では根管処置後の経過不良例がきわめて多数存在しているに違いない。
さらにわれわれの調査では、根管処置が施された歯にはきわめて高率に根尖部X線透過像が発現していることが見出された。(上の図)

上の図が意味していることは、根の治療は3割~5割しか成功していない。
たとえていうとイチローの打率みたいなものです。

7割から5割失敗するということです。

わが国の歯科医師が行う根の治療が半分以上失敗だとしたら皆様どのように思われますか?

須田教授はこのように仰っています。
日本の歯科医師が歯内療法を行う環境は困難を極めてている。保険診療における歯内療法の低評価は誰でもが認める事実であり、米国の一般開業歯科医による根管処置料金の中央値(2007)は、わが国の社会保険診療報酬の7倍以上である。

また、日本歯科医学会が2005年に発表したタイムスタディー調査結果から算出すると、大臼歯の根管処置において、審査から根管充填までの合計所要時間は2時間以上である。

解り易く言うと、日本では根管治療は不採算部門なので成功率が3割~5割であり、時間がかけられず無菌的な処置が行われていないことがその理由です。

巷では安倍総理がTPP交渉に参加し国民皆保険の堅持ということが話題になっています。
国民皆保険では誰でもが最低レベルのある程度の医療を保障されることは重要だと思います。
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しかしながら、その国民皆保険のために歯の中に細菌が植えつけらえ、半分以上の根管処置が失敗だとしたら、少しでも正しい歯科医療が行われることを願ってやみません。

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by yoshikawa-dc | 2013-03-16 08:27 | 歯内療法・根管治療 | Comments(0)
2010年 12月 15日

歯肉の腫れ・限りなく薄めたスープのようなもの

最近は、歯を抜かなければならない場合も取り外しの入れ歯ではなくインプラント処置がありますので、患者さんにとっても歯科医師の方もまだ救われますが、そもそもインプラントを入れなければならないようなことになるのは、基本的な根管治療がまともに行われていないことが多いので、そのことが原因です。

このような患者さんが見えました。かなり以前から私どもにメインテナンスに通っている患者さん
なのですが下顎の第2大臼歯の頬側に膿の出道である腫脹が見られます。

b0190560_471063.jpg被せてあるクラウンも以前に治療された根の治療も明らかに良くなく再治療をしなければなりません。
歯の根っ子の中に根管という空洞がありますがその中が細菌感染していることが原因で、中を無菌的に消毒しなければなりません。

すでに誰かが治療している歯なので初めて削られる歯を治療するよりも治療成績・成功率は下がります。

b0190560_4202788.jpg根管をマイクロスコープで覗いてみると根の中は腐敗したものがいっぱい出てきました。
これから時間をかけて丁寧に根管の中を消毒していきます。

日本では保険点数が低いためかまともな治療が少ないです。

とても困っています。良い治療をしたいのですが出来ない。

レストランで「限りなく薄めたスープ」を出さなければならなかったら料理人はどんなにやりがいがないでしょうか?また、お客さんも不幸です。

医療ジャーナリストの秋元秀俊氏がこのように書いています。

歯科の問題は「限りなく薄めたスープはスープか」権丈教授曰く「医療団体のトップ(そことつながりをもつ政治団体)が確信犯的に人びとに広く非現実的な財政政策を信じ込ませ、その信念が、この国の風土として深く定着してきた」。ただ、残念なことに、権丈教授の講義は、ひとことも特殊歯科の問題には踏み込んでいない。
社会保障と所得再分配政策を論ずるにあたって歯科を特別視する必要はないと思われるであろうが、権丈教授の大好きなマイケル・ムーアの『SiCKO』で、アメリカと対照的に描かれているカナダの場合、歯科の医療保障に関する限りは、公的保障からすっぽり抜け落ちていて、アメリカとまったく変わりがない。カナダの歯科にある問題は、財源問題ではなく、医療保障制度に歯科を組み込むか否かの問題なのである。
わが国の医療保障における歯科の問題もまた、(必要な療養はすべて給付される、として)限りなく薄めたスープをスープと称して提供しつづけることの問題なのである。


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by yoshikawa-dc | 2010-12-15 04:38 | 歯内療法・根管治療 | Comments(0)