2013年 03月 16日
解り易く言うと、歯の歯髄(神経・血管)を除去した患者さまが東京医科歯科大学のむし歯外来に来院した時レントゲン写真を取ります。その時に根の先に病気が見つかった発現率を表しています。 東京医科歯科大学の須田教授の論文からの引用です。 わが国における歯内療法の現状と課題という論文ではこのように書いてあります。 2010年7月、その前年における保険請求回数の全国集計が政府統計の総合窓口(e-stat)で公表された。 そこに掲げられたデータから推計すると、2009年の1年間で行われた永久歯の抜髄(神経・血管を除去すること)・感染根管治療(抜髄処置が失敗して歯の根に細菌の感染があること)の総数は1,350万例以上にのぼる。無菌的処置の原則を遵守した場合でさえも、抜髄および感染根管の成功率は、それぞれ90%前後および80%前後と報告されているので、一般臨床現場では根管処置後の経過不良例がきわめて多数存在しているに違いない。 さらにわれわれの調査では、根管処置が施された歯にはきわめて高率に根尖部X線透過像が発現していることが見出された。(上の図) 上の図が意味していることは、根の治療は3割~5割しか成功していない。 たとえていうとイチローの打率みたいなものです。 7割から5割失敗するということです。 わが国の歯科医師が行う根の治療が半分以上失敗だとしたら皆様どのように思われますか? 須田教授はこのように仰っています。 日本の歯科医師が歯内療法を行う環境は困難を極めてている。保険診療における歯内療法の低評価は誰でもが認める事実であり、米国の一般開業歯科医による根管処置料金の中央値(2007)は、わが国の社会保険診療報酬の7倍以上である。 また、日本歯科医学会が2005年に発表したタイムスタディー調査結果から算出すると、大臼歯の根管処置において、審査から根管充填までの合計所要時間は2時間以上である。 解り易く言うと、日本では根管治療は不採算部門なので成功率が3割~5割であり、時間がかけられず無菌的な処置が行われていないことがその理由です。 巷では安倍総理がTPP交渉に参加し国民皆保険の堅持ということが話題になっています。 国民皆保険では誰でもが最低レベルのある程度の医療を保障されることは重要だと思います。 しかしながら、その国民皆保険のために歯の中に細菌が植えつけらえ、半分以上の根管処置が失敗だとしたら、少しでも正しい歯科医療が行われることを願ってやみません。 千葉市美浜区の歯科 歯周病 顕微鏡歯科 インプラントなら吉川歯科医院
by yoshikawa-dc
| 2013-03-16 08:27
| 歯内療法・根管治療
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